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改元
¥1,980
「君は今回の譲位についてどう思うかね?」 「龍の話じゃありませんでしたか?」 「そうだよ」久間さんは目を細め暗い光を溜めた。 「ずっと前から私はその話しかしていない」 龍の夢が「私」を通過するとき、この国のもうひとつの姿があらわれる――現代日本小説屈指の剛腕による、抵抗と革命の二篇。 ****************************************** 大学在学中に『地の底の記憶』(河出書房新社)で文藝賞を受けデビューした小説家・畠山丑雄。 マジック・リアリズム的手法と豊かな物語性、確固たる強度を持つ文体を具えた新星による、抵抗と革命の二篇を書籍化。磯﨑憲一郎氏(『終の住処』『日本蒙昧前史』)推薦! 改元の年の異動で山奥の町に着任した公務員「私」は、集落に伝わる惟喬(これたか)親王が見たという龍の夢の伝説を追って、この国のもうひとつの姿を目撃する。(「改元」) 山あいの地主の一族に生まれた少年は、日猶同祖論を唱える父によって「世界の救い主」となるべく「十(じゅう)」と名付けられた。第二次世界大戦をまたいで繰り広げられる、めくるめく年代記。(「死者たち」)
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IMONを創る
¥1,980
『ぼのぼの』、『I【アイ】』、『誰でもないところからの眺め』のいがらしみきおによる、幻の予言的文明論にして不朽の人間哲学、30年の時を経て復刊! 80年代末から90年代初頭にかけて雑誌『EYE・COM』(アスキー)で連載され、1992年に書籍化されたいがらしみきおの長編エッセイ『IMONを創る』。 「人間のためのOS(オペレーティング・システム)」である「IMON」=「いつでも・もっと・おもしろく・ないとなァ」の構築を目指して書かれた本書は、著者の作品群を貫く思想と人間観が凝縮された一冊でした。 その刊行から30年後の現在、一人一台スマートフォンを持っているのが当たり前のSNS社会の風景は、『IMONを創る』で予言されていた世界像そのもの。 驚くべきはその予見の精確さだけではなく、そこで提唱された「IMON」というOSのアイデアが、AI産業の隆盛により人間というものが急速に相対化されつつある現代において、それでも人間が人間として、いつでも・もっと・おもしろく生きていくために、より刺激的かつ有効なものとなっていることです。 前世紀最大の奇書であり、精確な思考が現実の未来を射抜いた驚異の予言書であり、人間世界の「ぜんぶの解説」とも言うべき本書を、著者自身の新しいあとがきと、本書の熱読者である作家・乗代雄介氏による解説を付し、復刊します。 目次 まえがきマンガ 5 第1部 IMON創世記 TRONより早く実現するかもしれないユーザー側のOSを考案 8 5年のキャリアをもつ、IMONプロジェクトの人工無脳とは? 14 コンピューターは生き物か? アイデンティティーを与える 19 アメリカのコンピューター事情(?)を探ってきた成果は? 24 TRON住宅より早く完成した“IMON住宅”。その住み心地は? 30 矛盾がでてきてしまったIMONの“生き物理論”。その結果は? 35 コンピューターの新呼称キャンペーンを大展開。IMON第一部完 40 第2部 オタクから超常現象へ テーマ形式に変更した第2部。今回はオタクについて 46 メディアのディスプレー化で誕生したオタク層。断絶した世界を行く 51 ニッポン全国総オタク時代。オタクを笑うもの、オタクに泣く! 56 “オタク”、このテーマも今回が最後。問題点を総括した結論とは? 61 理論は不確定なものである。“超常現象”により覆される二値理論!? 67 ビッブにおいても超常現象はあるか? 実験を行なうIMON 72 ビッブに超常現象はないとするIMON。新たな事実が生まれるか? 77 『ふたりのビッブナイト』譜面 82 第3部 IMON3原則に迫る “いつでももっとおもしろくないとな”がモットー。第3部の開始だ 84 アナタは円周率を何ケタまで覚えてますか? 今回は数学的に迫る 90 聖書のように、マカズ、カラズ、クラニオサメズには生きていけない 96 プログラム言語Idaによって明らかにされる“マルチタスク” 102 IdaによってかかれたふたつのOS、I-IMONとG-IMON 108 儀礼と定型をつかさどるだけではないOS、G-IMONとはなにか? 114 一般の人にとってのG-IMON、表現とはなんだろうか? 120 今回は方程式を使って解説をするIMONの3原則“(笑)”の項 126 IMONの3原則“(笑)”を科学的に現象学で立証してみる 132 IMONの3原則“(笑)”最終回。『IMONを創る』第3部終了 138 IMON認定ソフト第1弾『トーキングぼのぼの』 144 第4部 IMONとパソコン通信 人間としてのアイデンティティーを消去させられるパソコン通信とは 146 パソ通は、アイデンティティーを剥奪されたものの上に成立する!! 152 パソコン通信について語るのも、これが最後なのだ!! 158 ハードについて考える。第1回を振り返ってみてほしい 164 ソフトウェアが進む“便利へ”と“快楽へ”のベクトル 170 IMON認定ソフト第2弾『BBSちゃん』 176 第5部 ビッブの教育と未来 IMON、最終章の(?)第5部に突入だ! 178 ビッブが言葉に意味を与えたとき、もうひとりの自分が出現する! 184 ビッブを教育するという立場から、人は決して逃れえないのだ 190 “宗教なしで人間的生活を営むことは可能か否か”を解き明かす! 196 IMONのリアルタイムやマルチタスクを実現できる唯一の国 202 『IMONを創る』は終わるが、IMONの歴史はこれから始まる! 208 その後のIMON 214 「その後のIMON」のあと 216 解説 私と『IMONを創る』の二十年 乗代雄介 222
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奇奇怪怪
¥2,750
著者 TaiTan、玉置周啓 判型 B5 頁数 392頁 ISBN 978-4-911125-00-7 ラッパーのTaiTan(Dos Monos)、音楽家の玉置周啓(MONO NO AWARE / MIZ)の二人が、映画・音楽・小説・漫画などのコンテンツから、生活の中で遭遇する違和感とワンダーの裏に潜む経済の謎まで縦横無尽に語り尽くす、Spotify Podcastチャートで最高順位第1位を記録した、超人気ポッドキャスト番組『奇奇怪怪』。 2022年にポッドキャスト番組としては異例の500ページ越え・本文三段組み・函入りという造本で書籍化され大反響を呼び(国書刊行会より刊行)、版元史上最高予約数(当時)を記録。同年秋にはアニメ化やTBSラジオでレギュラー番組『脳盗』が開始されるなど、領域を超えて広がりを見せる同番組が満を持して刊行する書籍版第二弾! 第一弾の百科事典的装いから漫画雑誌的オブジェクトへと変貌を遂げ、書き下ろし序文、語り下ろし跋文、そして巻末解説にギャグ漫画家・藤岡拓太郎氏の短編漫画を併録! 文化と経済の森羅万象を「強引に面白がる」ための言葉と思考の実弾が詰まった異形の対話篇。